社長死亡により事業譲渡が頓挫。破産手続きに切り替えて対立株主や役員から家族の財産を保全した

業界業種
食肉卸売業
年商
7億円
従業員数
12名
借入金残高
1億円
経営者バイアス
使命感、努力や愛着のサンクコス
再生ステージ
ステージⅢ
悪化の症状
売上依存
再生手法
事業譲渡、廃業

背景・課題

  • 中央卸売市場に店を構える老舗の食肉仲卸売業者だが、慢性的な赤字が続いており、元本返済停止の長期リスケ中である。
  • 社長は膵臓癌を患っており、仕事に打ち込める健康状態ではない。
  • 後継者候補はなく、社内にナンバー2もいない。
  • 少数株主が多く、関係が悪い。また、役員との関係も悪いほか、市当局との関係も悪い。

再生方針

  • 社長が近年中に病死することは確実であるため、そのタイミングで事業譲渡する。
  • 債務超過は莫大だが、社長死亡により生命保険金が入金されると、ほとんど完済近くなることが期待できる。高配当が出来る状態で、当社は倒産させる。
  • 社長家族の受取の生命保険も別にあるため、残された家族はそれで生活が出来る。

実行時の事象・ポイント

  • 事業譲渡の内諾時点で社長が死亡したため、事業譲渡が不可能になった。そこで方針を破産に切り替えた。
  • 役員との生前の対立があり、破産申立てのための取締役会開催が妨害された。
  • 対立する役員や株主が代理人弁護士を使って、個人借入金などの弁済請求をしてきた。生前の役員報酬なども対象となったため、残された社長家族の財産保全が最優先課題となった。

成果・効果

  • 対立する役員の代理人弁護士との折衝を続ける中で、役員の取締役会開催を拒否する意思を文書で確認。この文書もって準自己破産の申立てを弁護士に依頼した。
  • 破産手続き開始と相続放棄手続きにより、残された家族の財産は保全することが出来た。(家族受取の生命保険金はすべて対立する役員や株主から守ることが出来た)

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